- 療養型病院ってどんな仕事をしてるんだろう?
- 残業が少ないって聞くけど本当なの?
- 1日の業務スケジュールを知りたい
- 療養型病院の仕事って自分に合うかどうかが分からない
慢性期・療養型病院への転職を考えているあなたはこのように思ってはいませんか?
急性期病棟や内科・外科で働いてきた看護師さんにとっては療養型病院って未知な領域ですよね。
そんな療養型病院って
- ゆったり仕事ができる
- 医療行為が少ない
- 残業が少ない
こういった話を聞いたことがある人もいるでしょう。
この記事では、こういった悩みを持つあなたに向けて、慢性期・療養型病院の1日の業務スケジュールを紹介しています。
この記事を読むことで、療養型病院の業務内容やスケジュール・流れを知ることができるので、療養型病院の仕事が自分に合っているのか、転職してもやっていけるのかが分かるようになります。
目次
慢性期療養型病院の業務スケジュール
療養型病院の業務スケジュールはこのようになっています。
8:30 | 申し送り・環境整備 |
9:00 | バイタルサインの測定 |
9:30 | 排泄・入浴介助・褥瘡処置 |
10:30 | 点滴・水分補給・レクリエーション (看護記録の記入) |
11:30 | 昼食介助・配薬・口腔ケア |
13:00 | 休憩 |
14:00 | おやつ介助・水分補給 (看護記録の記入) |
15:00 | 排泄介助 |
16:00 | 看護記録の記入・申し送り準備 |
16:30 | 申し送り |
かっこ()になっている部分は、その日の勤務形態やリーダーかどうかによって変わってくるので、後ほど詳しく紹介します。
また同じ療養型病院とはいえ、病院や病棟によってスケジュールが変わってくる場合もあるので、絶対にこの通りではないですが、複数の療養型病院・療養型病棟で働いたことがある自分の経験からして、おおよそこのようになっていると思います。
8:30 申し送り・環境整備
まずは申し送りと環境整備から1日が始まります。
夜勤勤務者から、患者さんの前日の様子や夜間の様子を聞きます。
申し送りが終わると患者さんの部屋の環境整備をしますが、この環境整備は病院によっては看護助手さんがやっているところもあって、その場合は環境整備をせずに次のバイタルサインの測定に移ります。
9:00 バイタルサインの測定
患者さんのバイタルサインの測定をします。
体温や脈拍を測るだけじゃなく、患者さんにいつもと違うところがないかを注意深く観察します。
とくに療養型病院には認知症患者さんが多く、患者さんが自覚症状を伝えることができなかったりするので、看護師サイドで患者さんにいつもと変わりがないかどうかを察知する必要があります。

9:30 排泄介助・入浴介助・褥瘡処置
排泄介助や入浴介助は看護師さんだけでなく介護士さんと一緒にやっている場合もあります。
とにかくこの排泄・入浴介助が療養型病院で働く上で最も体力を使う仕事です。
患者さんによっては、ベッドに移乗してオシメ交換をする場合とトイレで立ってもらって排泄後にオシメを交換する場合があります。
なかなか立位を保つことができない患者さんの場合だと、スタッフ2人でオシメ交換をする場合もあって、患者さんが転ばないように支えておくだけでもかなりしんどいんですよね。
このオシメ交換がかなり体力と時間を使う業務になるので、人によってはこのオシメ交換が大変すぎて「もうやりたくない」と感じます。
また入浴介助も大変で、病院で使用している特浴の機械によっては、患者さんを持ち上げないといけないものもあるので、かなり体に負担がかかります。
こうしたオシメ交換や入浴介助の際に患者さんから暴言・介護抵抗・暴力が出る場合もあって、これも看護師さんが「やりたくない」と感じる要因の1つでもあります。
排泄介助・入浴介助をする際に併せて褥瘡処置も行います。
10:30 点滴・水分補給介助
排泄介助が終わると点滴業務や水分補給介助、レクリエーションになります。
ただ、重症者や点滴をする患者さんの人数によっては看護師は点滴業務に専念して、水分補給は介護士さんにお任せする場合もあります。
点滴業務が終わって昼食まで時間がある場合だと、ここで午前中の看護師記録(患者さんのバイタルサインや身体状態の変動、褥瘡の程度、精神状態の変化など)をします。
11:30 昼食介助・配薬・口腔ケア
療養型病院では高齢者の患者さんばかりが入院しているため、自分で食べることができない人も多いです。
そのため食事介助が必要な患者さんが多いです。
高齢者で嚥下能力もかなり落ちているので、患者さん一人一人の嚥下状態や食事ペースに合わせた介助が必要になってきます。
食事は僕たちが食べている形がある並食から、嚥下能力が落ちた患者さんのためにお粥やペースト状になった食事、栄養補助食品のゼリーやジュースなどさまざまなものがあります。
食事中にあまりにもむせてしまうようであれば、タッピングや吸引が必要になってくる場合もあります。
配薬については、認知症の患者さんが多く自分で薬を管理したり飲むことができないため看護師が全て管理します。
患者さんは、薬が合っている間違っているの判断ができない人も多いため、看護師が配薬を間違えるとそのまま誤薬につながってしまいます。
だから配薬をする際は細心の注意が必要です。
昼食・服薬・口腔ケア、このどれもに介助が必要になるので、排泄介助や入浴介助と同じように、ここでの業務もかなり時間が必要になります。
13:00 休憩
13:00からは休憩になります。
休憩に入る時間は病院によって違ってきますが、僕が働いた中ではだいたいこのくらいの時間に休憩に入ることが多かったです。
14:00 おやつ介助・水分補給(看護記録の記入)
おやつが配られてくるので水分とともに患者さんに提供します。
食事と同じように、介助が必要な患者さんも多く、おやつを提供・介助しながらコミュニケーションをとったりします。
おやつ介助を介護士さんや看護助手さんに任せて、看護師は看護記録を記入する場合もあります。
また、午前中に微熱があった患者さん、血圧に変動があった患者さんなどのバイタルサインの再検・観察を行います。
15:00 排泄介助
ここでまた排泄介助に入ります。
16:00 看護記録の記入・申し送りの準備
排泄の介助が終わると看護記録の記入と夜勤者への申し送りの準備に取り掛かります。
とはいえ僕が感じている中では、これまでの時間の中で看護記録の記入はだいたい終わっているので、残りの記録や申し送りの準備をする時間になります。
16:30 申し送り
夜勤者への申し送りをします。
この1日や夜間の患者さんの状態や出来事を夜勤者に伝えます。
夜勤者は申し送りを聞いてすぐに仕事に取りかからないといけないので、17:00までには申し送りを終わらせておきたいところです。
療養型病院の1日の業務スケジュールはこのような感じになります。
病院によっては微妙にスケジュール・内容が変わってくるところがありますが、看護師10年以上で転職・異動をしてきた僕自身の経験からすると、だいたいこのような感じになってくるのではと思います。

とはいえバイタルサインの測定のときにも紹介したように、患者さんは自分の不調を伝えることができない場合も多いので、介助をする際や患者さんと関わる際に患者さんの変化を察知する必要があります。
この察知する能力が療養型病院で働く上でかなり必要になってくる能力になります。
慢性期療養型病院の特徴
慢性期療養型病院の特徴
- 医療行為が少ない(介助がメイン)
- 患者さんの変化を察知する能力が必要
- 急変が少ない
- 急な入院が少ない
- なので業務に追われることがあまりない
- 残業が少ない
①②に関しては、先ほど紹介した通りで、医療行為が少ない代わりに介助がメインとなっています。
そして患者さんは自分の不調を伝えることができない場合も多いので、介助をする際や患者さんと関わる際に患者さんの変化を察知する必要があります。
療養型病院では患者さんの状態も落ち着いていることが多いため急変が少なく、また入院も基本的には予約制となっているため、急な入院もないです。
なので他の診療科でありがちな


こういうことがほとんどありません。
ということは、業務に追われることが少なく計画通りに進めることができるので、残業も少ないです。
ただ慢性期・療養型病院で働くことが楽だと言うつもりはありませんし、慢性期・療養型病院にはその病院ならではの大変さはあります。
慢性期・療養型病院の特徴やメリット・デメリットはコチラで紹介しています。
➡️看護師が慢性期・療養型病院に転職するメリット&デメリット【体験談アリ】

慢性期療養型病院にこんな看護師さんにおすすめ
向いている看護師さん
- ライフワークバランスを重視したい看護師さん
- 子育て中の看護師さん
- 他の診療科で精神的・身体的に疲弊しきった看護師さん
- 患者さんと関わること、患者さんの生活を支えることにやりがいを感じる看護師さん
療養型病院は先ほども紹介したように業務に追われること・残業が少ないので、ライフワークバランスを重視したい看護師さんや子育て中の看護師さんにとくにおすすめな職場です。
また業務に追われることが少ないということは、スタッフ一人ひとりに余裕があるため、先輩看護師さんからキツく怒鳴られたりといったこともあまりありません。
スタッフに余裕があるため、業務で必要な点滴や吸引、患者さんの状態や観察ポイントなど細かく丁寧に教えてもらうことができるので、基本的な手技やスキルは身につきやすいです。
私が新卒・第2新卒さんに慢性期病院をおすすめする最大の理由ですがこれです🥰
先輩看護師も余裕があるから、丁寧に時間をかけて教えてもらえる
基本的な看護技術も身につく。
私みたいに性格的に急性期で働くと潰れちゃうだろうな〜っていう新卒・第二新卒さんは慢性期も視野に入れて欲しい〜 https://t.co/k2rqUmcEyy— おもち¦美容ナース (@ns_omochi3) August 13, 2022

転職してきた人たちの中には急性期など他の診療科で精神的・身体的に疲弊しきった看護師さんもいますが、その看護師さんたちは今では最前線で活躍してくれています。僕はそういった経験から人にはそれぞれ輝ける場所はあると感じています。
➡️【看護師転職】慢性期・療養型病院の人間関係は?ストレスを感じているあなたへ
また子育て中の看護師さんにも特におすすめな職場となっています。
僕は男性ですが育休を2回取得しました。
療養型病院には子育て中もしくは子育てがひと段落した看護師さんが多く働いていて、子育ての大変さが身にしみてわかっているので育休が取りやすかったです。
お互いに子供の体調不良などでよく休むことあるので、みなそれぞれ「お互い様」という意識があるのが嬉しいですね。
➡️忙しいパパママ看護師さんは慢性期・療養型病院への転職がおすすめ
慢性期療養型病院で働くことに向いていない看護師さん
向いていない看護師さん
- 知識・技術をもっと身につけたいと考えている看護師さん
- 専門的なスキルを身につけたい看護師さん
慢性期療養型病院では医療処置が少ないです。
また、患者さんの状態を網羅的に観察する必要があるため、逆に言うと専門的なスキルを身につけることができません。
患者さんの状態が身体的に重症になったら転院してもらって、転院先の病院で治療が終わり状態が落ち着いてきたらまた入院するといった感じです。
なので、専門的な治療や看護に携わる機会がなく、専門的なスキルを身につけることができません。

➡️看護師が慢性期・療養型病院に転職するメリット&デメリット【体験談アリ】
まとめ【療養型病院は働きやすい病院】
僕が療養型病院で働くことになって感じたことは、療養型病院は働きやすい病院であるということ。
この記事では療養型病院の業務スケジュールを紹介しましたが、業務の間に看護記録を書く時間があるし、急変や急な入院も少ないので、だいたいこのスケジュール通りに仕事が進んでいきます。
また療養型病院で働いてみて、スケジュール通りに仕事が進みスタッフに余裕があるので、基本的な手技や知識を丁寧に教えてもらえるし、怒鳴られたりすることもそんなにありません。
育児に理解のある看護師さんも多く、育休や子供の体調不良で休むことについても「お互い様」といった意識があり休みやすいのも特徴です。
ただ、専門的なスキルやもっと知識・技術を身につけたい、スキルアップを目標としている看護師さんにとっては向かない職場とも言えます。
ここで紹介した療養型病院のスケジュール・特徴を今一度確認して、自分に合った職場かどうか考えてみてください。
療養型病院のことをもっと知りたいと思ったのなら、コチラの記事も読んでみてください。